あの神社のことなど(前) ― 2006年10月16日 23時41分36秒
先日、美容院に行ったわけです。
カットのみ1300円。
まあ、お値段はどうでもいいけど、美容院と言えば女性週刊誌であります。
普段見たことない女性週刊誌を開くと、「見どころガイド」という記事があって、例のあの神社が見開きで図解説明されていました。
よく、観光地の見どころとグルメガイドがありますが、観光地なのね?あそこは。
友人と二人で、例のあの神社に行ったのは、高校を出た頃のことです。
有名だけど、どんなところだろう、ジンジャ・ブッカクと言えば日本の文化だもんね~、と軽い気持ちでした。
ご町内にある神社の豪華版なんだろうな、鳥居もおっきいし、という想像をするぐらいです。
その有名な鳥居をくぐると、普通の神社ではお目にかかれない彫刻がいろいろありました。
それは、戦争や戦死することを美化したモニュメントで、奇妙にわかりやすく(つまりクサくてダサい)、兵器の展示は奇妙に誇らしげでした。
そんな境内を歩いているうちに、非常に疲れた気分になりました。
座れるところがありそうな手近な建物に入ってみると、長テーブルにパイプ椅子が並んだ殺風景なところでした。
うす緑色のプラスチックの湯飲みと、大きなやかんが各テーブルに置いてあります。
地方からバスで来られたお年寄りたちが、ぬるそうなお茶を入れて折詰のお弁当を広げておられました。
その部屋には、大きく「散華」と看板のあるガラスケースがあり、戦闘機と軍艦のちゃちな模型が飾られていました。
戦闘機はおかしな角度にぶら下がっていて、「敵の軍艦に体当たりするところ」というような説明書きがありました。
戦闘機の角度が変なのは、テグスが一本切れていたからでした。
今まで見てきた戦争賛美の彫刻や兵器に加えて、子供だましにもならない安っぽさの極致です。
ご飯を食べる場所で、特攻の瞬間を見せたいというセンスもわかりません。
何だかすべてが情けないと思いました。
戦争で亡くなった人を祀るところだと言われていますが、私には、戦争で亡くなった人をバカにしているようにしか思えませんでした。
「ふざけるなー!」と叫びながらガラスケースに真空飛び膝蹴りをかましたくなりました。
だけど、ご遺族のお年寄りたちを見ると(豪華とはとても言えない折詰を、黙々と食べておられるのを見ると)とてもそんなこと叫べません。
でも、どう言えばいいのかわからない何かがもやもやとして、どうにもしかたがないのです。
勝手に疲れ果てた私たちは、そこも早々に出て、帰ることにしました。
境内に真っ白い鳩がたくさんいました。
眉間に皺を寄せておし黙っていた友人が、ついに叫びました。
「こんなところにいちゃダメ! ほかのところに行きなさい」
怒る相手、鳩かよ!
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