あと5枚 ― 2007年02月07日 23時39分03秒
昨日の沖縄タイムスの記事です。
「夜間中学『卒業』認定」という見出しです。
沖縄に夜間中学が出来たのが3年前。
今年初めて卒業生を送ります。
この夜間中学は戦後の混乱期に義務教育を受けることなく、働かざるをえなかった人たちが通っています。
去年わたしは、この珊瑚舎スコーレの舞台発表(ミュージカル)を見る機会に恵まれました。
そのときは珊瑚舎スコーレを「不登校の子たちが通うフリースクール」としか思っていませんでした。
幕が開き、中学生や高校生くらいの子たちが歌ったり踊ったりします。
しばらくすると、「おばあ」「おじい」と呼ばれることに何の違和感もないお年頃の人たちも舞台に加わりました。
わたしは、(あり?子供たちのご家族も出演しているのかな?)と思って見ていました。
でも、どうにもこうにも、特に演技力があるとも思えない「おばあ」「おじい」から目が離せないのです。
子供たちもよくがんばっているのはわかるのですが、だけど、目が、わたしの目が、「おばあ」「おじい」以外を見るのを拒否していますけど何かー!という感じです。
最後に、出演者全員の踊りand合唱のときは、「ああ、おばあたちが踊ってる・・・歌ってる・・・」。
もうたまりませんよ。
だーーーっと涙が出ました。
わたしのココロをわしづかみにしたおばあたち、いったい何者?と思ったのですが、その正体は夜間中学の生徒さんたちだったというわけです。
義務教育を受けたくても果たせなかった人たちが、60年間夢見てやっと通えることになった学校!
あこがれ続けた学校の、自分が出る学芸会!
学校で勉強している喜びのオーラが、全身から立ち上って輝いていたのですね。
さて。
新聞記事をさらりと読むと、「よかったね」と思ってしまいますが、じっくり読むと非常に問題アリですよ。
それは、卒業を迎える人が12人で、卒業証書を受け取る人が7人だということです。
なぜ、卒業証書を全員に渡してくれないのでしょうか。
あと5枚足りませんよ。
行政は、定時制の高校を受験する人に「戦後特例」として中学卒業認定をしただけであって、確かにそれも前進だとは思います。
でも、卒業生全員で卒業証書を見せ合って喜ぶことができないなんて、ずいぶんけちくさい対応ではありませんか。
入学の時、「卒業証書を抱いて、棺桶に入りたい」と言ったおばあがいらっしゃるそうです。
その方は進学希望ではないので、卒業証書がもらえないのです。
わたしが作ってあげたいよ~。
でも、そうじゃない。
日本のどこに行っても、世界のどこに行っても通用する卒業証書を渡してあげなくては意味がない、そう思います。
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