思わずにっこり2010年02月15日 13時20分15秒


吾輩は猫であるを読む猫

岩波文庫「吾輩は猫である」上下巻(昭和38年発行)。
年月が紙を茶色く変えている。
ここまで古びるとブックオフはじめ、日本中のどこの古本屋も買ってくれない。
それに、ここまで古びるともう手放せない。

子供だったから知っている言葉の数が少なかった。
それでも面白くて読んでしまった。
明治の文豪なのに、ギャグ満載だったのには驚いた。
美しい三毛猫の三毛子は、飼い主の身分を自慢する。
三毛子の飼い主は「天璋院様の御祐筆の妹のお嫁に行った先のおっかさんの甥の娘」なのだという。

読み返すたびに少しずつわかる言葉が増えていった。
最近でも、

「天璋院様って篤姫のことだったのね!」
とわかって、大河ドラマに感謝した。


もう手放せない本だなあ・・・。とバイトでレジに立ちながら考えていた。
ニッパチというだけのことはあって、いつもよりちょっと暇なのです。

そのとき閃いたことがあります。

私が死んだとき、お棺にお花を入れる代わりに、この古ぼけた「吾輩は猫である」をバラバラにして入れてもらおう。
紙だから燃えやすいし、死んだ私も大好きなお話に囲まれて大満足。
古い紙で全身を覆われたら、ビジュアル的にも最高ですよ。
送るほうも「ばるタンをお花で飾ってどうするよ。似合わねー・・・」と思わなくていい。
それに、「吾輩は猫である」の最後は、「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。ありがたいありがたい」ですよ。
ぴったりすぎてコワいくらいですよ。

私の人生最高のナイスアイデアではないかしら。
早くその日が来ないかしら・・・と思うくらいです。

ふと気がつくと、一人でニマニマ笑ってしまっていました。
ニッパチに加えて、レジ係の不気味なひとり笑いのせいで、ますます暇な店内です。