ゆく川のながれ2011年07月21日 23時31分35秒

震災の日から、本を読む気にもなれず、かといって現実からは逃避したいのでひたすらナンプレにハマっておりました。

本は読みたくないんだけど、頭の中には繰り返し浮かんでくるセンテンスがあったわけです。
「ゆく川のながれは絶えずして しかももとの水にあらず よどみにうかぶうたかたは かつ消え かつ結びて 久しくとどまりたるためしなし」

高校の教科書に出ていたアレです。
たしか、悲惨な話だったんだわ。
大火事だったり、飢饉だったり、地震だったり。

友達に電話で話してみました。
「方丈記なら読んでみたい気がする」

次の日、友達からメールが来ました。
「方丈記買っちゃった。古典の解説本を読んで『方丈記を読んでみたいなあ』と思っていたのよ。昨日の話にも出てきたしね」

なんだとー! くやしいー! きー!
電話で話したときは、「ふーん」と気のない返事をしていたのに、抜け駆けしたわね!(←いいがかり)

ちょうど、大きな本屋さんの近くに行く用事があったので、私も友達と同じ本を買いに駆け込みました。

大きな本屋さんなので、どの階のどの場所にお目当ての本があるか、パソコン画面で調べます。
画面に出てきましたよ。
「方丈記 岩波文庫 売れています。昨日時点で在庫1冊」
に、にゃにー? 売れてるの????
在庫1冊???
あわてて売り場に走って行き、棚の前に立っていた人を押しのけて、貴重な1冊をゲットすることができました。

もしかして、震災のあと、「ゆく川のながれは絶えずして」が、頭の中で響いている人が多いのかもね。