一年ぶり ― 2009年04月20日 15時35分12秒

一年ぶりに、テロテアさんのところに行きましたよ。
そしたら、去年はなかった卒塔婆が二つ立っていました。
一年の間に「ジロー」と「フクちゃん」が加わったようです。
「テロテアさんの卒塔婆もほしいな~、いややっぱりいらないかな、いやあってもいいかな」とテロテアママはいい加減に悩んでいました。
テロテアさんに持ってきたクッキーを、ジローとフクちゃんにもお供えしました。
(もちろんそのあと全部ぴぐモンが食べました)
テロテアさん、ジロー、フクちゃん、ぴぐモンが加わるのを待っていてね。
テロテアさんとぴぐモンは、2ヶ月に一度、一緒に動物病院に行っていました。
2ヶ月分のフィラリアの薬をもらい、ついでに先生にモシモシ(聴診器)してもらうのです。
動物病院のドアは、われさきに押し合いへし合いしながら入るテロテアさんとぴぐモン。
待合室で我に返って、診察室に入るのは尻込みします。
ある時、テロテアさんをモシモシしていた先生が、「あっ、テロテアさん、心臓の音が変わりました」と告げました。
テロテアさんの心臓は、弁が弱くなり、それを補おうとして心臓肥大になっていたのです。
その日から、テロテアさんは、心臓の薬を飲むことになりました。
それから2年以上、テロテアさんは、壊れそうな心臓を大切に大切に使い、使い切ってくれたのでした。
テロテアさんが、まったくご飯を食べられなくなったとき、「点滴で栄養をとったらどうだろう」と病院に連れて行きました。
テロテアさんは全身脱力していて、どこを持ち上げても、重さがそのまま手に乗っかる状態になっていました。
抱っこして歩くと、歩く振動でテロテアさんの全身が揺れました。
でも、テロテアさんは、元気だったときから、脱力ごっこができていました。
散歩の途中でぱったりと横たわってしまい、取り囲んで揺すっても揺すられるまま。
「テロテアさん、死んじゃいやー」とみんなでげらげら笑ったりしていたので、通りかかった人はさぞびっくりしたことでしょう。
元気なときも、そして「多分、そろそろお別れなんだろうな」と思わざるを得なくなっても、脱力したテロテアさんを抱っこすると、その感触は、「ふふふ・・」と思わず満面の笑みになってしまうほど気持ちがいいのです。
疲れた人を集めて、テロテアさんを抱っこさせたら、その気持ちよさにみんなニコニコ笑って家路につくのではなかろうか、とテロテアママとよく話していましたが、テロテアさんのその特殊な能力は、最後の最後まで健在で、最後の数日の抱き心地はほんとうに素晴らしかったのでした。
病院で、テロテアさんをそっと診察台に横たえると、先生は体重を量りました。
「この前より、400グラム減りました。順調に減っています」
この前来たのは3日前のことでした。このまま順調に減ると、テロテアさんは体重ゼロになってしまうな・・・と私はぼんやり思っていました。
先生は、栄養注射をしませんでした。
「栄養を入れても、消化するのにエネルギーが必要なのでかえって衰弱するおそれがあります。お水を含ませてあげてくださいね」
そして、病院中のスタッフを呼びました。
アニマルナースさんや受付のスタッフ全員が、診察台に横たわるテロテアさんを取り囲み、テロテアさんの全身を撫でさすり、覆い被さって頬ずりしながら、「テロテアさん、いいこね」「えらいね」「テロテアさん、立派だよ」「かっこいいね」と口々にほめてくださったのでした。
テロテアさんの心臓が、そっと静かに止まったのは、その2日後のことでした。
テロテアママに抱っこされて、お水を含ませてもらっていたときでした。
テロテアママは今でも言います。
「まさか死ぬとは思わなかったよね」
「思ってたよ!」
と私は答えますが、ぴぐモンの時にはきっと逆のやりとりをすることでしょうね。
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