卒業の頃2007年03月16日 23時54分17秒

卒業式シーズンなので、卒業に関連した思い出を書きます。


中学校の卒業式の少し前、体育館で「お別れ会」をした。
各クラスごとに、出し物をすることになっていた。

私たちのクラスからは、吹奏楽部だった4人が演奏をするのと、落語にハマっていた子の落語、と学級会で決まった。
仲のいいクラスだったので、話し合いもあっという間に終わり、「よし! これで行こう!」と全員が成功を確信していた。
こういう話し合いには、担任の先生は参加していないが、「うちのクラスが一番だ」と言ってくれることだろう。

というわけで、その日がやってきた。
ほかのクラスは、全員がだらだらと舞台に上がって合唱をしたり、フォークギターで歌ったり、と全員が出るので同じような出し物だ。
何をやるかぎりぎりまで決められなかったらしく、珍妙な出し物だったりもする。

私たちのクラスの番になり、吹奏楽部の精鋭たちによるグリーンスリーブスの合奏になった。
みんな聞き惚れてうるうるしているのが手に取るようにわかった。
さらに落語が大受けで、全員が大笑いだ。

「うちのクラスのグレードの高さを見たか!」と思ったものだ。


しかし、あとで担任の先生に言われてしまった。
「お前たちにはがっかりした」と。

グレードの問題じゃない、まとまりが悪くてもいい、全員が舞台に上がるのを先生は見たかった、一人一人の顔を見たかった、と言うのだ。

ええ~っ! そんなこと、今さら言われても・・・・。
でも、確かにそうかも・・・・。
信頼していた担任の先生にそう言われて、鼻高々だった私たちは、しょげて深く恥じた。


最近、合奏をした中の1人の消息を聞くことができた。
あの時、演奏をしたことが、とてもいい経験と自信になっているようだ。
何もしなかった私には、何もない。
先生の言うことが正しかった、と今さらながら思う。


卒業式に「仰げば尊し」を歌いたい、と言う生徒たちに、先生たちはこぞって反対した。
「お前たちに恩を感じてもらえるようなことは何もしていない。だからその歌はふさわしくない」というのが理由だった。


ラッキーな中学生だったなあ、私。

コメント

_ anonymous ― 2007年03月17日 07時58分58秒

「ゲッチョ先生」にはぜひお目にかかりたいと常々思っています。
まだ埼玉の高校にお勤めだったころには、ウチの子を一人くらいは入学させられないかと考えていました。
人って思いがけない繋がりができるようで、こちらに伺うようになったこともそうですが、初めて読んだゲッチョ本の、最初のページの4行目に出てくる「マキコ」さんと広島でお目にかかる機会がありました。
私が参加する「自然の博物館」をつくる会のシンポジウムに、大阪市立自然史博物館の友の会の一人として飛び入り参加されたのでした。
その後、たまたま地元の新聞にゲッチョのコラムが続いていたのでコピーをお送りして、代わりに彼女が団長を務める「なにわホネホネ団」の企画(カエルの骨格標本を作る)に呼んでいただくなんてこともなりました。
反対に、ご本尊が隣町に「骨の学校」で見えたことに気がつかないなんてことも。

仰げば尊し。
そういえば近作の『生物屋図鑑』では、「教え子」ではなく「なかま」になっていたような(知り合いのところに出前図書館状態なのでうろ覚えです)。

_ KIRICKLAND ― 2007年03月17日 08時04分02秒

名無しです。失礼しました。

これから「ウニの遺伝子をみてみよう!」に出かけます。
模試やら爆睡で、「ウチの子」はだれも参加しません。
片道1時間半を予定してますので、落語のテープを何本か用意しておかなきゃ。

_ naoki? ― 2007年03月17日 19時42分59秒

かっこよすぎる(T^T)
そんな先生に出会いたかった。。。

_ マンゴープリン ― 2007年03月17日 21時38分31秒

とてもいいお話ですね。
その先生のお気持ち、よくわかります。
信頼している先生にいわれた言葉だから
素直に聞けたのでしょうね。

そういう関係を、子供達との間に築いていきたいものです。

_ ばるタン ― 2007年03月17日 23時57分16秒

>KIRICKLANDさん

ウニの遺伝子???
やっぱり二重螺旋なんですか?



>naoki?さん

見た目はかっこよくないんですよ。
中学生だったもんで、先生のことをすごいオトナだと思っていたけど、30代だったかも^^;;;



>マンゴープリンさん

信頼していたので、叱られても楽しかったんです。
先生は生徒を守ってくれるという実感がありました。

だから、どうにもしかたなくなってひったくりをしちゃったとか、
誰かを刺しちゃったとかいうときには、
学校に逃げてこようと思っていました。
先生はきっと、「この子はいいこです。魔が差したんです。よほどのことがあったに決まっています」と言ってくれるだろうと。

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