映画「愛と青春の旅立ち」2009年10月24日 00時39分02秒

私が初めて桜坂の映画館で観た映画は『愛と青春の旅立ち』。
沖縄に来た年のことですから私も若かったし、主演のリチャード・ギアもただのちんぴら。←そうか?
興味のない映画だったのですが、当時勤めていた会社の同僚が、「行こうよー! 面白いってよー! 感動するってよ! 最後で泣けるってよ!」と袖を掴んで放さないので、しかたなくつきあったのでした。

入隊したリチャード・ギアが、指導してくれた鬼教官よりも位が上になって訓練を終え、工場で働く彼女を迎えに行くわけですよ。で、お姫様抱っこで工場から連れ出すんですね。昔の有名な映画なので、ネタバレも平気で書いていますがいいのか?

映画館を出てから、同僚は言いました。
「面白くなかったね。全然感動しなかった」
同感です。

「だけど、一ヶ所、胸にぐっと来て泣いたところがあった」
あっ、実は私も一瞬だけ泣けた。

「鬼教官がリチャード・ギアに『お前なんか辞めて帰れ』って言うでしょ。そしたら『僕には帰るところがないんだ!』って叫んだところ」
うわー、そこそこ! 私もそこで何かわかんないけど涙が出たのよ。

「別にどうってことのない場面なのにね」
ほんとにね。なんでかね。

そんなたわいのないおしゃべりをしたことを、今も時々思い出します。



そして、私たちが泣いてしまったあの場面。
『帰れ!』『僕には帰るところがないんだ!』
いったい、何度思い返したか、数え切れない。

沖縄に暮らして、若い米兵を見るたびに思わずにいられない。
徴兵制のない今、どうして兵隊になろうとするんだろう?
映画のリチャード・ギアのように、『帰るところがないんだ!』と、叫んでいるのだろうか?と。


好きではないけれど忘れられない映画の思い出です。