思い出のてんさぐの花 ― 2006年03月08日 22時54分47秒
本日は、スルーしたい現実がありましたので、思い出にひたることにいたします。
小学生のとき、担任の先生に非常に逆ひいきされたことがあり、なかなかつらい日々を送っていた。
理不尽なことで名指しで延々と怒られるのが常だったので、怒られた理由は一つも覚えていない。
しかし、一度だけほめられたことがあり、ほんとうにただ一度だけだったので、それについてはよく覚えている。
あの時、先生は、授業をするのがめんどくさくなったらしく、「一人ずつ前に出て歌いなさい。歌謡曲はだめ」と言い出した。
ほとんどのクラスメイトが音楽の時間に習った歌で、ピアノを習っていた友達が「野ばら」を歌ったりした。
私には、歌いたい歌があった。
NHK「みんなのうた」で覚えた歌だった。
私は、その歌が好きで好きでたまらなかったのだ。
順番が来て、私は前に出て大きな声で歌った。
「てんさぐの花」を。
この歌の魅力は、最初「つめ先」という目の前の小さいことを歌っていたのに、2番になると突然「夜に航海する舟が北極星を見る」という見渡す限り広々とした景色が現れるところだ。
歌の内容に加えて、私は奇妙に沖縄音階に惹かれる子供だった。
歌い終わって席に戻ろうとしたとき、私が何をやってもけなすことしかしなかった先生が、
「いい歌ね。もう一度歌って」
と言った。
ここまで書いてきて、先生は私をほめたのではなくて、「てんさぐの花」の歌が気に入っただけだったんだ、やっぱりただの一度もほめられていなかったんだなあ、と気がついたわけなんですけどね。
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