お願いします2006年08月15日 23時04分52秒

北海道から毎年、遺骨収集のために沖縄に来ているという人をテレビで紹介していました。

6月23日を過ぎても、壕に隠れていたところ、そこに米兵が入ってきたので撃ち殺したそうです。
それはとても若い兵隊さんで、しかも武器は持っていなかったとか。
「戦争だからしかたなかった。こっちが殺されると思った」という言葉からは、やりきれなさがあふれていました。

60年、その人は苦しんでいるのです。

平和な時代に人を殺してしまったのなら、裁判を受けることができます。
刑を終えたあとは、その身を投げ出してご遺族に謝ることも、お墓参りに行くこともできます。
戦争では、それさえもできません。
重い心を抱き続けるだけです。


疎開船に赤ちゃんと一緒に乗っていた若いおかあさんがいました。

その船が攻撃されてしまいました。
救命ボートには、お年寄りと子供から乗せます。
おかあさんは若いので、ボートには乗れません。
でも、赤ちゃんだけを誰かに託すことも、つらくてできませんでした。

ちょうど、薄暗くなる時間だったので、おかあさんは顔を隠し、お年寄りのふりをして赤ちゃんとボートに乗ったそうです。

そのことを60年間、誰にも言えなかったのです。
自分がそうしたために、誰かが亡くなったのではないかと、ずっと、心につらい思いを抱えた60年間でした。


去年、NHK沖縄放送局が、沖縄戦の絵を募集し、夕方のニュースで紹介していました。

描かれた絵は、ご自身の体験が多いのはもちろんですが、「こんな人を見た。あの時は助けられなかった。あのあとどうしただろう」と、見ず知らずの人を思って描かれた絵も多くありました。

手を差しのべる余裕などなかったのに、「助けてあげられなかった」という思いを持ち続けなくてはならなかったのです。


私たちは平凡な弱い人間です。

法を犯さずに暮らしたい。
人に意地悪することなく、できる限りの誠意を持ちたいと思っています。

だから、平凡な人間が平凡な人生を全うできるように、余計な重荷を背負って残りの人生を歩むことのないように、政治家の方は力をつくしてほしいのです。

心からお願いします。