食卓の迷宮 番外編 ― 2006年12月08日 09時57分32秒
小学校の時の思い出です。
子供会主催で映画鑑賞会があった。
動物の映画と、鉄腕アトムの二本立てで、みんなこぞって参加した。
アトムの映画と言ってもですね、カラーの映画版アトム(短編)と、テレビですでに放送された白黒の番組を無理やりつなぎ合わせたようなものだった。
「あー、これテレビで見たことあるー」「あー、白黒になっちゃったー」と一瞬騒いだ子供たちも、すぐさま画面に釘付けですよ。
まあ、そんな時代です。(←いつだよ~、戦前か? 国民学校か?というつっこみは無視)
映画の合間に休憩時間があった。
みんな、ガサガサとお弁当やおにぎりやサンドイッチを出して食べ始めた。
え???
これってドッキリ???(←そんな番組、当時はもちろんありません)
いったいどういう行き違いがあったのか、今となってはわからない。
私一人だけが、食べる物を持っていなかったのだ。
映画館は、徒歩で来られる白鳥座だし、お金も持っていない。
たとえお金を持っていたにしても、イナカの小学生の私にはなすすべもなかっただろう。
しかたないので、前を向いてじっとしていた。
食べる物がないということを、誰にも気づかれませんように・・・と願った。
恥ずかしい、悲しい、重い気持ちで時間の過ぎるのを待った。
「あれー?? ばるタン、お弁当持ってないのー?」
バレバレだったか・・・。
声をかけてきた友達は、小さな妹とおかあさんが一緒に来ていた。
友達のおかあさんは、何も聞かず何も言わず、持っていたあんパンを私に一個持たせてくれた。
ああ、私はちゃんとお礼が言えたのだろうか。
私の性格上、口ごもるのが関の山だったはずだ。
あんパンはおいしかった。
涙目の私は、いつまでもいつまでもあんパンがなくならないように、一噛みを限りなく小さくして、大事に大事に食べた。
これが私の、「みんなには食べる物があるのに、私にはなかった非常事態」の思い出だ。
同時に、「みんなには食べる物があって、私にはなかったけど、分けてもらえた」という生涯忘れられない思い出だ。
もし、タイムマシンがあったら、あの瞬間にもどりたい。
そして、きちんとお礼が言いたいと思う。
トシオちゃんのおかあさん。
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