出してみました2009年03月10日 23時19分13秒

写植のサブプレートとニャンギラス

押入から写植の文字盤を出してみました。
記号や飾り罫、ルビや欧文書体などの小さいプレートが78枚ありました。
ニャンギラスも見に来ました。



一年に一度くらいの頻度で、友達と同じやりとりをしています。

「写植の文字盤が押入にあるんだけど・・・」
「捨てたらいいさー」
「そうだよね・・・」
「そうさー、使わないのに。燃えないゴミに出したらいいさ」

かつて友達と私は、同じアパートに住んでいて、それぞれの部屋に写植機を入れて下請けの仕事をしていました。
文字盤は二人の共有財産。
何度も何度も廊下を行き来した文字盤です。

数年後、友達は就職し、文字盤は私の手元に残されたのです。


私は下請けを続けていましたが、写植の仕事が減り、ワープロ入力の仕事ばかりになった頃、写植機が動かなくなりました。

動かなくなった写植機とお別れするのがしのびなく、困った私は、大小のねじ回しを駆使して、少しずつ少しずつ自分の手で分解していきました。
大きな段ボール箱に外した部品を入れ、小さな箱にネジを入れ、解体作業は何日も続きました。

もう外せるネジが一つもない、という状態になって、引き取り業者さんに来てもらいました。
写植機(だった物体)が部屋から運び出され、トラックに積まれるところを、ベランダからじっと見ていました。

トラックが走り出したとき、心の底から思ったことがあります。
「ああ、よかった。写植機に名前をつけなくて」
名前をつけていたら、「○○ちゃんを返せ~」とトラックを追いかけていたのではなかろうか。


さて、今までついに処分できなかった文字盤ですが、ネットで検索して見つけた写植ファン(そんな奇特な人が存在するとは!)の人のところに送ることになりそうですよ。
なんだかホッとするような、やっぱり寂しいような気持ちでいます。